群馬 関東地方

クライミングジムOZ(オズ)のご紹介

皆さんこんばんは、ソムリエです。

第47回は群馬県太田市にある『クライミングジム OZ』を紹介しようと思います。

 

クライミングジムOZ

OZ(以下オズ)といったらご存知の方も多いでしょう。Youtubeで数多くの動画を公開し、普段のジムの様子や遠征の様子を収めた動画はその場の空気や雰囲気を丁寧に切り取っていて、さながらそこにいるような感覚を覚えます。格好良くキメたクライミング動画も良いけど、こういう日常系の動画も素敵です。今でこそロストキャニオンをホームとしていますが、実際2週に1度くらいしか行けていませんし、遠征ばっかり行ってしまうジッとできない阿呆ですが、クライミングを始めた当初は一つのジムにしか行っていませんでした。平日も休日も、そのジムで過ごしていて、そこには打ち込んでいる課題があって、馴染みの常連さんたちがいて、自然と始まるセッションなど、そこが当時の私のクライミングの全てでした。それらは今はもう手放してしまったものだけど、オズの動画にはそれら全てが詰まっている。クライミング動画としても面白いし、動画としても笑えますし、根無し草のような者として羨ましさも感じます。いくつかお気に入りの動画のリンクも貼っておきますので、是非みて見て下さい。私はすごく好きで、新しい動画が出る度にチェックしております。

さて、今回もジムの話をそっちのけにして盛大に話が逸れてしまいました。まぁ何が言いたかったかというと、動画は見たことあるしジムのことは知っているという人は多いと思うのですが、実際に訪れたことがあるという人は少ないと思うので、こんなジムだよと紹介できればなと思ったわけです。動画みれば分かるんじゃない?と言われれば、その通りなんですけどね。はい。とりあえずそこら辺は気にしないことにして、早速本題に入っていきましょう。あと、今回も中々の文字数ですのでご容赦ください。

 

クライミングジムOZ(オズ)

  • 店舗の大きさ:普通
  • 壁高(壁について):普通からやや低め
  • 課題数:多い
  • 課題の傾向:ムーブ系かつボディ系
  • グレード感:普通からやや辛め

 

店舗の大きさ

正直なところこの店舗の大きさが今回の紹介の中で一番不確定要素なのですが、多分普通くらいの大きさです。ただ感覚的にはそれよりも大きく感じます。多分そう感じるのは、店舗の大半をクライミングエリアが占め、強傾斜やルーフが手前にあり、奥行きがあって三方を壁に囲まれているからだと思うのです。思うにロストキャニオンと同じくらいか少し小さいくらい。多分。自信はあまりない。

強いていうなら、クライミングエリアに比べてレストエリアが少なめなのかなとは思います。ここのレストエリア、特に壁の中心にあるエリアは特徴的で、船着場のような感じなのです。広々としたマットの中に床が浮いているような感じで、あまり他では見かけない構造。実際なかなかいいもので、ここがあるからマットに座ってしまうとかもなくて、戻りやすくて課題に向かいやすいジムにもクライマーにも安心安全なスペース。何よりこのシンプルなルックスが結構好きです。

 

クライミングウォール

壁はバリエーション豊富で、向かって右側から、垂壁・スラブ・95度・105度・115度・立体・マントル・140度・ルーフとバリエーションが非常に豊富。この規模のジムでこれだけ壁が充実しているのも珍しいかと思います。同程度の規模のジムから比べれば、2つほどバリエーションが多いでしょう。しかもバリエーションが豊富だからと言って各面決して小さいわけでもなく、しっかりとした広さがあります。また傾斜の変化が多いのでカンテやコーナーといった角度の変わり目も豊富で、壁の弱点をうまく活かした課題が多いのも印象的でした。上手いこと活かし過ぎて、おっかない課題もチラホラ。でもそのスリルが堪らない。壁の中でも特に印象的だったのがルーフで、上部が立体的で、マントルを返せるというか乗り込める形状になっており、かなり楽しい。そして絶妙にスメアのしにくい壁のフリクション。出来なくはないけど、油断するとすぐ滑るくらいのフリクションで、いつも以上にスメアの意識を高めさせられました。まだまだ足が未熟ですね。

これはちょっとした点ですが、リップが丸みを帯びた木製の優しい作りで、個人的にすごく好き。ゴールとしても、ゴール後の補助としても安心のガバ具合と手への優しさ。リップが持てるようにしてあるジム自体多数派ではありませんが、オズやFishやロッキーなど持てるようにしているところは総じて好きです。ただごく稀に『持てるようにはしてあるけど、持たせる気はない』というようなリップもあるんですよ。本当稀ですけどね。

壁高は4m程度なので普通からやや低めですが、体感はそれよりあるように感じます。リップが使えるのでその分高さを感じるのではないかと思います。105度や115度のあたりでも十分な高さを感じるのですが、とりわけ140度は4mであることが信じられませんでした。かなり威圧感があり、もっと大きく感じる。

トレーニング設備も小ぶりながらしっかりと揃っており、きっちり追い込んで変えることが出来ます。特に目を引くのが懸垂ロープ(多分この呼び方)。過去に大阪パンプで見かけたけど使える状態ではなかったので、ここにきて初めて触りました。ジムでこれが置いてあるところも珍しい。そしてやってみると案外できるもんです。小学校の時棒登りさえ(というか運動全般)出来なかった私としては、ちょっとだけ感動を覚えました。社会人にもなると懸垂ロープを目にする機会も少ないと思うので、訪れた際にはチャレンジして見てください。普段のトレーニングと違った刺激を入れるという意味でも良いかと思います。降りるとき下の結び目には注意。

また小ぶりながらキッズウォールもあります。

 

課題数

訪れた時はラインセットが多い状態の時だったので普通くらいの本数でした。ですが通常時まぶしのことが多く、その状態の正確な本数も分からないので、多いという表現にとどめておきます。テープ課題の方かにもファイル課題も含めればかなりの本数になることでしょう。前回訪れた時はラインセットとテープ課題を中心に触りましたが、それでも触りきることはできませんでした。

 

課題の傾向

課題の傾向的にはムーブ系かつボディ系の課題が多かった。そして色々と濃い。いろんなムーブや要素が詰まっていたり、その上で保持感が強めだったりという具合に。また傾斜に関係なくどの課題もしっかりと体幹で支えておかねばならず、課題を全部触りきろうと計画的に強度を調整しているつもりでしたが、予想以上に体幹を使っていたらしく、最後まで持ちませんでした。強傾斜やルーフで登って疲れたら傾斜の緩い方に戻るのですが、そっちでも体幹や指が休まることもなく、逃げ場なし。その結果最後の方は腹回りに薄っすらと痛みを覚え、翌日の筋肉痛は体幹周りが特にひどかった。ここ最近訪れたジムの中でも、トップ3に入るくらいヨレることができました。

セットは基本的にゲストセッターなどは呼ばずに、スタッフによるセットが中心で、いつ行ってもオズのテイストを楽しめるというのも嬉しいポイント。ウィークリーやマンスリーといったラインセットのイベントをやったり、まぶし壁も含めた100課題系のイベントがあったりとセットは不規則なので、訪れる時は事前にチェックしておくといいでしょう。

 

グレード感

ここのグレード表記は少しばかり特徴的で、何級何段と明確にせず、色だけでグレードを分類しています。黄緑が一番優しくて、赤が一番難しいという具合に。登って体感的に推し量ることは出来るでしょうが、そんなことをするのは無粋じゃないですか。ソムリエとしてグレードが辛い甘いというのも、ジムが提示するグレードが私の中の基準と比べてどうだという相対的な話なので、指標がそもそも一致しないのなら
比較のしようもないわけです。

それでもあえて言うなら、ラインセットの方はG-sessionというミドルコンペの課題だったので、結構登れました。一方でまぶしでは同じ色のグレードでも苦戦するものが結構あり、ラインセットに比べて悪めという感じでした。

 

クライミング界の動向

さて、ちょっとした小話なのですが、今後のクライミングジム業界とクライマーの動向について私なりに考察していこうと思います。

昨年オリンピック種目にクライミングが選ばれたことにより一気に知名度が増し、世間様からブームだの流行だの言われてクライミング人口は一気に増えたと思います。去年までは特需とも言える状況で多くのジムができましたし、新規さんがかなり多かったと色々なところから話を聞きます。ですが今年はその流れも減衰し始め、去年よりもお客の層が変化しているのではないかと思うのです。オリンピック話以前から業界では関東を中心にラインセット・カラーセットが主流になりつつありましたし、その時期から始めた人や去年あたりに始めた人たちが今も続けているとなれば、ある程度グレードが頭打ちになってつまづいている頃合いだと思うのです。もしくはより上を目指してトレーニングに励んでいる頃合い。常日頃からラインセット・カラーセットで登っている身として断言できるのは、ラインセットでは強くなりにくい。保持にしろフィジカルにしろ、まぶし壁で登っているより成長速度はずっと劣ります。その代わり以前にも話したように、技術的な面では成長は早いと思います。クライミングにおいて強さと技術はどちらも重要なものですが、個人的にはやはり強さの方が重要性が高いと思うのです。課題の中で前提となる強さがなければ、もっと言えば持てたり抑えられたり耐えられたりしなければ、技術も使いようがないのです。

ではその強さを手に入れるためにどのようなトレーニングをすればいいのかと考えた時、キャンパボードやフィンガーボードも有効でしょうが、実際にクライミングをして身につけたものが一番有効だと思うのです。そしてそれを手っ取り早く身につけられるのが、まぶし壁というわけです。まぶし壁ならいろんな目的に合わせた課題を作れますし、ラインセットと違い余計なホールドが沢山あるのでそれらを避けたり瞬時に判断したり、プロからアマチュアの課題まで多種多様な課題に取り組むことができるのです。こういった感じに考えて、まぶし壁を求めるクライマーはこれからもっと増えていくと思うのです。既にその流れは起こり始めていますし、そしてこの流れは、より質の高いまぶし壁を求める流れになって行くと私は考えています。

 

まぶし壁に注目

随分と前置きが長くなりましたが、要するにこれからはラインセットばかりじゃなくてまぶし壁も注目されて行くだろうって話で、ソムリエ的にもこれからは、まぶし壁も注目していかねばならないかなと思うのです。まぶし壁の方こそ評価が難しいと思うのですが、一応明確な指標を持って質の高いまぶし壁を紹介できればなと思います。

写真のようにラインセットやカラーセットもありますが、どちらかといえばオズはまぶしが主体のジムで、有り体な言葉で言えば遠征向きというよりは地域密着型のジムといえます。ですが実験的なセットをしたり、イベントの際には写真のようにラインセットになったりするので、遠征組的にはそんなラインもまぶしも味わえるタイミングで行くのがちょうどいいかもしれません。

訪れた際には140度とマントル壁、垂壁スラブがまぶし状態となっていたのでそれらを中心とした評価になりますが、140度の方はラインセットで使われるような質のいいホールドが多く、しっかりとキーホールドがあり、ホールドの関係性も整っていて質の良いまぶし壁でした。マントル壁は一見パッとしない見た目ですが、Moon Boardテイストなセットという話を聞いて納得できるルックスと内容。実際Moon Boardより辛い壁でした笑 Moon Boardはある程度フリクションも良いし、ホールドのボリュームがあるので結構足で逃がせるのですが、このオズボードともいうべき壁はそんなフリクションのいいものばかりでもなく、ボリュームもまばらで足で逃がしにくい。そして何より上部はMoon Boardよりも傾斜がついているのでことさら辛い。実にトレーニーな壁です。

 

編集後記

ちなみに補給に関しては、近隣のコンビニ事情はわかりませんが、駐車場の自販機がやたらに多くそして安いのも嬉しいところ。これで飲み物の補給は完璧です。ジムの自販機が100円(だったと思う)っていうのも珍しい。

この記事に関して正直なことを申しますと、書き上げるのになかなか苦労しました笑 あれこれ伝えたいし、自分の中で上手くまとまらないしと悩み考えながら書いているうちに、気づけばかなりの文字数となっていました。どうにも表現力が乏しいので言葉を積み重ねがちなんですよね。もちょっとね、読みやすい文字数の中に収めたい。

色々書き散らかして言葉を散々重ねてきましたが、ソムリエとして皆さんにお伝えしたいのは、兎にも角にも遠征に行って見てくださいということです。確かに遠征向きのジムとは一概にはいえないけれど、遠征に適したタイミングの時期はありますし、何よりここにしかない特色があるジムです。課題にしろ、ジムの雰囲気にしろ、一度は訪れてもらいたい。ちなみにオズの動画ファンの方は土日以外に行きましょう。映像に映ってる方々に会えない可能性大です。一緒に楽しく登りたいという方は平日夜がオススメです。

そして最後に私の好きな動画を3つチョイスしておきました。ぜひこちらもご覧ください。

 

それでは皆さん、またお会いしましょう。

 

 

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