第26回は、京都府京都市にある『クラックス京都』を紹介していきます。
※2022/5/29 閉店しています。
クライミングジムクラックス-京都店-
もう完全に勝手なイメージですが、関西のジムを語るにCRUXは外せないなと。関東から関西に行くのもそんなに気軽なものではありませんから、折角行くのだからできるだけ良いジムに行きたい。1,2年前にスカルパの『On The Board』の舞台となった京クラに行きたい(あの動画はめちゃくちゃかっこよかった。今でもたまに見ています)。もうずーっと行く機会を見計らっておりまして、この度年始早々に京クラに行くことが出来ましたので、簡単にではありますが紹介していこうと思います。
(年始早々に行ったのに記事にするのが今頃になったことはそっとしておいて下さい…)
クライミングジムクラックス-京都店-
- 店舗の大きさ:結構広い
- 課題数:多い
- 壁の高さ:普通よりやや高め
- 課題の傾向:オールマイティ
- グレード感:辛いような甘いような。強いて言えば普通くらい
店舗の大きさ
ジムはビルの地下一階に位置し、結構広々としています。壁の形状が特殊なので大きさの比較が難しいのですが、強いていうなら、春日部エナジーの一階くらい。クライマーが取り囲むような形状をしている壁というのはやはりそう多くはなく、単純な床面積の比較では壁の規模の印象が異なってしまうので、春日部エナジーの一階より壁が濃いと想像していただければ大体イメージ通りじゃないかな。
課題数
大体120本前後とかなり多め。マンスリー形式で課題が追加され、先々月、先月、今月分と3か月分ほど残っているので1日では全く触り切れません。また月ごとにテーマが変わるので課題の傾向もガラッと変わっている印象です。また詳しくは後述しますが、1月のマンスリーは『Old School』で保持感の強めで真っ向系の印象。それ以前の課題は8DXというイベントの課題などが残っており、ムーブ主体で保持感はマイルドでポジション重視のようなイマドキの課題といった印象。保持に疲れたらポジション系の課題で休憩し、再び保持課題に戻るということをひたすら繰り返していました。やはり課題数が多く課題のバリエーションが豊かなジムはいいですね。
クライミングウォール
壁の高さは普通よりやや高めかなというところ。ビル内や地下にあるジムはどうしても天高に制限があるので壁が低くなりがちなイメージがありますが、ここはそんなことはありませんでした。壁が立体なのでその分登攀距離も伸びているのか、スケールが大きいようにも感じました。
グレード感
かなり自信がありません。甘めと感じる課題もありましたし、辛めと感じる課題もありましたし、その割合が同じくらいだったので、総合的に見れば普通くらいなのかなと。まぁその辺は課題の得手不得手によるものだとしていいのですが、クラックスはVグレード表記(一応段級verもある)なので、それもグレード感が掴みきれない要素として大きかったですね。まぁソムリエ的にグレード感の表現にすごく困ったというだけなので、登る分にはそれほど引っかかるものはないかと思います。
CRUXの特徴
さて、京都クラックスといえばこの特徴的な壁を差し置いて語ることはできないでしょう。
VERVEの社長でありウォールデザイナーでもあるクリスチャン・グリフィス氏とのコラボによって作られたこの壁は、18年前に建てられたとは思えない前衛的な形状をしており、最近出来たジムとなんら遜色がない。なんだったらこのような複雑な形状をしている壁のジムはやはりそう多いものではありません。似た形状としてパッと思い浮かぶのは荻パンとか、春日部エナジーとかゼロのタワー壁とかですかね。また壁の形状が特徴的なのもさることながら、強傾斜エリアのマットの形状が非常に特徴的です。傾斜に沿うように斜めになっており、とても居心地がいい。つい強傾斜エリアに居座ってしまいました。
また個人的な好みの話ではありますが、ジムの雰囲気が最高にカッコいい。地下にあり照明がやや薄暗い感じになっていて、とても雰囲気がある。アングラの雰囲気が好きな人は間違いなく好きでしょう。SNSなどで写真や動画を見ている雰囲気とほぼ変わらず、店内に入ってしばらく興奮しっぱなしでした。居心地はいいし、雰囲気も最高だし、いいジムでした。
そして忘れてはいけないのが課題のクオリティの高さ。店長の清水さんをはじめとしたスタッフの方々でセットされており、低グレードから高グレードまでとても良く練られている。繊細なバランス系、パワー系、ポジション系などバリエーション豊かで、そのどれもが非常によくできていました。なにをやっても楽しかった。またCRUXはpusherやTeknikなどの代理店でもあるので、新旧様々なTeknikホールドがつけられており、そのほかにもaixやスクアドラ、Flatといった楽し気なホールドが沢山あるので、壁のホールド感がすごく良い。見た目からしてやる気になる。イベントの際にはハリボテなどがこれでもかとつけられている様子ですし、今度は是非その状態のときに訪れたいものです。
前述した1月のマンスリー『Old School』はPusherの古いホールドを用い、PCA(professional Climbers Association)の雰囲気をモチーフにしており、その課題に関してはただ一言、感動したといわせてもらいましょう。私自身クライミングに関わるようになって日が浅いでの、正直PCAが開催された当時のクライミング事情はよく分かりません。ですが、まったく見たことも触れたこともないようなホールドに一手を進めていく緊張感、今回のマンスリーの課題からその雰囲気は確かに感じ取ることが出来ました。
全国各地にジムがどんどんできて、ラインセットが主流になり、どこのジムにも人気の新しいのホールドがつけられ、遠征に行きまくっていればホールドに対する知識もある程度身につくようになりました。そうなるとホールドの保持面保持感はある程度見当がつくようになるので、課題のオブザベーションはどういったムーブや出力を必要としているかという思考になりがちです。ですが今回『Old School』をテーマに作られた課題は骨董品のようなpusherのホールドを中心に作られており、古すぎて見たこともないし保持面も保持感もさっぱりわからない。下から入念にホールドを観察し、それでも上部のホールドは不確定な要素が多く意を決して手を出していく感じ。あぁ、きっとPCAに出た選手たちはこんな気持ちで登ったんだろうなと、感動してしまいました。老舗だからこそ、京都クラックスだからこそできた課題。本当に最高でした。ちなみに1月のマンスリーは2月4日(日)まで。課題の残し具合から察するに、マンスリーが終わっても課題自体は少し残るのかな?このマンスリー課題はとても価値あるものだったので、もし京都に行く機会があればなにがなんでも行くべきです。触れることが出来て本当に良かった。
編集後記
さて、いかがでしたでしょうか。
関東から行くにはいささか遠いところではありますが、それでも行く価値が十二分にあるジムだなと思いました。今度は夏頃に行きましょうかね。新幹線で(車はさすがに遠かった…)。そして今しがた気付いたのですが、特徴的なマットの写真撮り忘れてました…。申し訳ありません。是非実際に訪れ見てみてください。きっと驚く事でしょう。
ここまでお付き合いいただきありがとうございます。
それでは皆さん、またお会いしましょう。