コラム

MADROCK HEYWIREクライミングシューズレビュー

皆さんこんばんは、ソムリエです。

 

シューズレビューの前置き

今回は久々にシューズレビューでもしようかと思います。ただ本題の前に、シューズについて色々考えたので、それを先に書いておこうと思います。

私が良いシューズかどうかを判断する要素として大きいのが、汎用性の高さと使い易さ。とりわけジムダラーとして、一度の遠征でより多くの課題を味わう為には自らのクライミングが幅広いものでないといけません。そして保持り倒してフィジカルで押し通すよりも、弱さを活かして課題を味わい尽くせるクライマーでありたいし、保持やフィジカルが弱いクライマーとしてフットワークは登る上で欠かせないもので、様々な状況におけるフットワークの実現度の高さこそシューズに求める最重要要素。ですから何かに大きく特化したようなシューズはフットワークの幅を狭めてしまうようで、あまり好かんのです。ダウントゥが強いとかターンインが強いとか、やたらめったら硬いとかね。

それなので、ジムソムリエとして紹介するシューズレビューはもっぱら、ジムで使いやすいシューズを中心に紹介していこうと思います。外岩での使用感は知りません。私は外岩には滅多に行きませんし、憶測で書いたところでなんの価値もないでしょうし、そっちの方が圧倒的に人口も多いでしょうから、外岩向けのシューズレビューは誰かにお任せします。

 

HEYWIREの紹介

さて、今回はこの夏MAD ROCKから発売された注目作、『HEYWIRE(ヘイワイヤー)』について紹介していこうと思います。

お盆に訪れたエッジアンドソファ で奇跡的に購入することができたので、ここ4ヶ月ほど履いておりました。ちなみに初めてマッドロックを買いました。

すっごい正直にいうと、最初は記事にしやすそうなシューズだと打算的に買いまして、購入後2週間くらいは微妙なんじゃないかとさえ思っていました。しかし今では、大概なんでもこなせる便利シューズなので、ほとんどこれがメインとなっています。ちなみにシャドーさんを裏切ったわけではないですよ。あれはフットワークを思い通りにこなせる最も信用できるシューズですが、何分値段が高く前回内側がボロボロに崩壊したのがとてもショックで、今回は大切に大切に扱おうと、ここぞというときだけに使う本気シューズとなっているのです。

ではでは、余計な小話はこの辺までにして、ヘイワイヤーを4ヶ月あまり履いてきた使用感を中心に、レビューしていくとしましょう。

 

ネットの前情報

とりあえずネットで手に入る情報をまとめるとこんな感じ↓

ヘイワイヤーはドイツ・アウトドア国際見本市(アウトドア用品に関するリテイラー向けの国際展示会)にて、フットウエアデザイン部門で最優秀賞となる『インドストリアル・アワード』を受賞した注目作。このヘイワイヤーは何が凄いかって、業界初となる3Dトゥーボックス(カップ)を使用しているのです。

ソールはサイエンス・フリクションラバー3.0を使用し、ノーシャンクでありながらノンエッジ構造で、それでいて立体成型なのでダウントゥー形状が崩れない。アッパーやランドにあたる部分もソールと一体なので継ぎ目やラバーの重なりの違和感もなく、ソールと同様サイエンスフリクション3.0なので、トゥーフックやスメアもバッチリこなせる。もちろんヒールも従来通り3Dヒールカップを採用しており、二つのカップによって構成されているような構造。トゥボックスもヒールカップも3D成形でラバー同士が重なる部分が非常に少ない(土踏まずに唯一重なる部分がある)ので、ソールやラバーが剥がれてダメになると言った心配もほとんど無し。アッパーにはニットを採用しており、通気が良く伸縮性も抜群。足裏感覚に優れ、素足に近い。

上記を読んでいただければ、ヘイワイヤーがどんなシューズなのか雰囲気はつかめるかと思います。

これを踏まえた上で私の個人的な感想をつらつらと書いていきます。

 

HEYWIREのレビュー

兎にも角にもこの靴を語る上で最も重要なのが、アッパー(と呼んでいいのか?)にニットが採用され、これによりこのシューズが他のクライミングシューズとは全く異なるモノに仕上がっているということ。ネットの情報ではどうしても立体成形の方に目がいきがちですが、実際はそれよりもニットアッパーの方が特徴的です。

 

どんな足型にもジャストフィット

何でこんなにニットアッパーのことを強くいうのかというと、足への拘束を高めて登りやすくするクライミングシューズにおいて、このニットアッパーはその真逆をいくモノなのです。ニット部分でかなりのボリュームを吸収し、どんな足型にもジャストで合うことでしょう。甲高の人も甲広の人もジャストで合うはず。もちろんそうじゃない人でもサイズさえ合わせてしまえばジャストで履けると思われます。大げさかと思われるかもしれませんが、それくらい足型を選ばない許容力があるシューズなのです。ちなみに普段通りクライミングシューズを選ぶように履くと、まだサイズ下げられるかなと思ってしまいますが、ジャストかちょい爪先に拘束感がある程度が適正です。サイズを合わせる際に、このニットアッパーによってかなりサイズを攻められてしまうので、その辺は注意が必要です(我々クライマーある程度シューズの拘束感による痛みに慣れてしまっていますからね)。実際ジャストよりちょいキツめで買いましたが、そのくらいのサイズ感が調子いいのかなと思います。このくらいのサイズ感だとニット部分でサイズが吸収されて履き心地は抜群で、冗談抜きに何時間でも連続で履いていられます。しかしそんな履き心地というかサイズ感でありながら、爪先への拘束はしっかりしていて、細かいスタンスも踏んでいけます。ベルクロの締め加減一つでかなり調整できるので、そのくらいのサイズ感にしといた方が汎用性も高いかなと。あとニットによる恩恵が、抜群の足入れの良さ。ニット素材を使用しているため口を前後に大きく開けるので、どんな足型の人でもストレスフリーで足入れができます。また特徴的なヒールループ(プルタブ)をしており、これが滅法使いやすい。片手でかなり強く引っ張れるので、サッと足入れができます。

 

何時間でも履いていられる

何時間でも履けるハイエンドシューズというもの珍しいと思うんですよね。大抵遠征終盤では足もむくみ切って履くのも辛くて、気合で痛みを押し切って履いたりしますが(たまに痛すぎて諦める)、むくみ切った足でも苦もなく履けるのが素直にありがたい。足が痛すぎるから今日のクライミング終了というのが嫌なのですが、ヘイワイヤーならそんな可能性は皆無です。この『サッと履けて細かいスタンス踏めるし何時間でも履いていられる』という特徴があまりにも便利すぎて、非常に重宝しております。

そしてこの立体成形のトゥボックスとヒールカップ。とりあえずどちらも繋ぎ目が無いので、とても丈夫です。ちなみにベルクロ部分も丈夫で、4ヶ月間ほぼ毎回使っていますが、特にどこかほつれたり剥がれてきたりというのはありません。正直結構雑に使っているのですが、マジで丈夫。あと1~2ヶ月はイケる。

 

ヒールカップ

ヒールカップはシャンクもなく、グニャグニャな感じ。感覚的にはvxiのヒールに近いですかね。潰し気味にも使えるし、踵の形状でエッジ系のヒールもこなせる。大きな特徴がない分、癖がないのでシーンを選ばず使いやすい。ちなみにトゥフックはかなり良いです。スローパーやボテのように広い面積のものに適当にかけてもかかるし、細かいポイントでもかけられるし、何よりめちゃくちゃかかるのに全然痛くない。コーディネーション系の課題で勢いよくトゥフックする際にも全然痛くない(流石にホールドを蹴っ飛ばすような勢いだと痛い)。個人的に歴代のクライミングシューズの中でも一番使いやすいトゥフック性能ですね。1位ヘイワイヤー、2位vxi、3位以下全部一緒。シューズの剛性的にはvxiより少し硬いくらい。ボックスとカップが二つ繋がったような構造なのでランドやスリングショットによる引き締め感はなく、履き心地的には上履きとかそんな類のモノに近いですね。クライミングシューズとしてかなり異質な履き心地です。実際に通常のクライミングシューズと履き比べてみるとその違いは顕著です。

 

トゥボックス

トゥボックスも前述の通り立体成形でノーシャンク・ノンエッジ構造。柔らかく足裏感覚に優れ、立体成形のおかげでダウントゥの形状がずっと続きます。使用して4ヶ月ほど経ちますが、ヘタレもせず形状は維持されています。とりわけ親指の基節骨あたりはダウントゥの形状が強く出ており、これにより強傾斜での足残しや掻き込む動作がとてもしやすい。その反面、個人的には細かいエッジング、特に線で乗せるような動作に少しだけ不安があるのですが、MAXこと柴田さんがヘイワイヤーで瑞牆の『伴奏者』を登っているのでそんなことはないのでしょう← 足置きなどフットワーク面でも特に大きな支障はなく、vxiなど柔らかいシューズに慣れている人なら問題なく使いこなせると思います。あくまで個人的な感覚ですが、フットワーク性能はシャドウさんでのフットワークを100%とするなら、ヘイワイヤーの場合80%くらい。ですが実際100%のフットワークが必要になることもそう多くはないので、ジムでいろんな課題を登る分にはこのくらいの性能で十分かなと思います。実際、ヘイワイヤーだけで一日乗り切ってしまうこともよくあるので、ジムでのトレーニングシューズとしてかなり優秀だと思います。

あと個人差だと思うのですが、このシューズは大器晩成型なのかと思いました。冒頭の方でちらっと話しましたが、最初は本当に微妙だと思っていたのですが、1ヶ月2ヶ月と経つうちに段々とよくなってきました。シューズが馴染んできたせいなのか、ノンエッジに私が慣れてきた為なのかは分かりませんが…。

今回初めてMAD ROCKのシューズを履いたのでサイエンスフリクションも初体験だったのですが、C4・グリップ2・TRAXなどのグリップ系のソールと遜色ないグリップ力があるので、素直に使いやすかったですね。ボテや外形したスタンスもしっかり捉えてくれるので安心感があります。使い始めの頃は親指のダウントゥ部分ががやや怖いのですが、馴染んでくるとその不安な感じも無くなります。

 

HEYWIREの総括

総括すると、足入れがしやすくて性能もいいのに何時間でも履ける超便利シューズ。値段もシャドウさんに比べれば比較的お手頃価格なので、気になる方は是非購入してみてください。本当使いやすくて便利なシューズですよ。

それでは皆さん、またお会いしましょう。

MADROCK HEYWIRE(マッドロック ヘイワイヤー)のシューズ全体

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