皆さんこんばんは、ソムリエです。
第43回は群馬県みどり市にある『ボルダリングジム COZY』をご紹介します。
ボルダリングジムCOZY
今回はかねてより要望の声が多かった『地方の面白いジム』として、紹介できればなと思います。今までの記事はなんだかんだ地方にあれど、有名なジムが多かったので、今回は冒険的に行ってきました。まぁ先に言っちゃうとゲストセッターにヒラリーさんとカオリンさんが入っているジムに行くあたりあまり冒険していないようにも思いますが、ジムに向かう道中本当に行こうか非常に悩み続けていました。折角の休み、ここの近くにもいろいろジムあるし、それを差し置いて行くべきなのか、紹介するべきなのか、このコストを掛けて行くべきなのか、行って記事にできなかったらどうしようとおっかなびっくりな感じで行きまして、色々あって記事にしようと思いたったわけです。
では今回も早速紹介して行きましょう。
- ボルダリングジムCOZY
- 店舗の大きさ:小さめ
- 壁高(壁について):とりあえず高め
- 課題数:普通
- 課題の傾向:ムーブ系
- グレード感:普通
店舗の大きさ
クライミングジムとしての規模は「小さめ」というところ。とは言いましたが、クライミング エリアと同じくらいのレストスペースがあり、駄弁り場のようなキッチン(手洗い場?)があり、なんとも言えない不思議空間な荷物置き部屋があり、今後そこに壁ができるような話もあるので、一概に小さいとも言えないのでしょう。後述しますが壁も面が少ないくらいで高さがしっかりあるので、小さめと言われるジムの中では大きい部類かと思います。
クライミングウォール
壁は90度、105度、120度、140度の4種類。
90度と105度は4mとやや小振りですが、120度と140度は5mとかなりの高さ。ちなみに更衣室が90度に隣接しているのですが、その更衣室も壁の一部となっているのです。高さ的には2m弱といったところ。なので驚異的に低いところからかなり高いところまであるので、壁の高さの表現が難しいのですが、とりあえず5mが2面あるし高めということにしようかなと。
壁の形状というか作りも独特で、ウォールから天井までが一繋がりになっているのです。大抵の場合ウォールと天井がくっついていないか、別のものとして区切られておりますので、こういった形状は珍しいのではないでしょうか。見た目がシャープな上に、その形状により隙間が非常に少ないので、クーラーの台数は少なめでしたが効きは結構良かったですね。流石に日中は暑かったけれど。
同じ色の木目が続く壁も好きですが、こういう風にランダムなパターンで構成された壁もいいですね。まっくすみたいな壁というべきでしょうか。でもって純粋に壁が格好良かったんですよ。ついつい写真をたくさん撮ってしまいました。強傾斜を正面から撮った写真は、今までの写真の中で一番よく撮れた写真だと思います。誰か褒めて。
オーナーさんが宮大工をされている方なので、壁は自社施工。というか基本的にほぼ全て自分たちで作ったそうで、ハリボテやホールドも自作のものが多数ありました。角材をぶった切って作ったと思しきファットめのブロック状のホールドは、カチにもなり、ピンチにもなり、ガバにもなり、ラップで巻き込んでも良い具合なホールドで、ラップ持ちが好きな私としては中々熱いホールドでした。最近のホールドは奥深さを追求する傾向にあるかと思いますが、ここまで素直な形状であることが逆に清々しくて良かった。これはこうやって持つ、以上!みたいなね。
ハリボテも小さいのから大きいのまで、様々な形状のものがありました。中でも特筆すべきは、大人が3~4人入れそうな大きさの特大ハリボテ。もはやボテというより移動式の壁。壁の色と相待って、初めて見たときはそれをボテと認識していませんでした笑 実際に実物を見たことはないのですが、ボテの大きさとしては去年の八王子W杯で話題となったvoltmicと同等かそれ以上の大きさ。そんな大きさのものがこの規模のジムについていることも驚きですし、自作されたものであるというのもすごい話です。しかも作りもしっかりしているんですよ。オブザベもせずにボテをひたすら触り尽くしておりました。使い方も非常にユニークで、前回のセットでは強傾斜に付けてルーフのような形状を生み出し、今回のセットではマントルもできそうなスラブとして活躍。訪れた際には是非よく見てみて下さい。感動的です。
またトレーニング設備がかなり充実しておりまして、キャンパボードのバリエーションが非常に豊富。こんなにいるのかと思うほどに豊富。しかも種類ごとに分離しているので、誰かとトレーニングのタイミングが被っても安心。このトレーニング設備だけで半日は間違いなく遊べる。
課題数
コンペ後に訪れたので、課題数はそれほど多いというわけではありませんでした。多分50本ないくらい。それでも一日中登り倒せる課題の濃さがありました。ちなみにファイル課題もあるので、登るものには困らないでしょう。とりわけ140度にあったオリジナルホールドで構成された1級がやたらと楽しくて打ち込んでおりました。ちょいネタバレですが、ヌメリ手の人は確実にゴール核心。右手がすっぽ抜け続け、おっかない落ち方を連発しておりました。でも凄く楽しかったので、ずーっと打ち込んでました。
課題の傾向
コンペのゲストセッターにヒラリーさんとカオリンさんが入っているので、全体的にムーブ系が多かったかと思います。もちろん高グレードになるとガチ保持系の課題もありましたが、そういう課題は少なかったかな。どちらかというと癖の強い動きが多い印象。コンペの課題ということもあり、秘密の三元素でいうリスクが強めでした。そのリスクによる緊張感が絶妙なスパイスとなって良い味出していましたね。やっぱりリスキーな課題はスリルがあって面白い。
グレード感
グレード感は普通かちょっと甘めくらい。多分課題の傾向的にムーブ系が多く比較的登りやすく感じたので、そう感じたのかなと思われます。前述したリスクを考慮すると、もしかしたら辛めとなるかもしれません。
この話をしたらきりが無いというか意味がなくなってしまうかもしれませんが、課題の傾向やグレード感に関しては今回の記事ではあまりアテにしないで下さい。なぜなら『コンペ課題』と『通常営業の課題』は全く成り立ちが違うものだから。ジムとしての課題の傾向やグレード感を語ろうとした時、コンペの課題はジムの課題といって良いのかと思うのです。壁の形状により作りやすい動きや課題の種類も異なるでしょうから、それによって生まれる課題の傾向はジムとしての『課題の傾向』といっていいと思うのですが、面一が多い壁の場合『セッターの課題の傾向』になってしまうじゃないですか。だからジムの紹介をするときにコンペの課題のみだったりすると、ジムとしての課題の傾向とは言えないよなーと思うのです。
なので今回はこの『課題数』『課題の傾向』『グレード感』はあまりあてにしないで下さい。そのうち改めて確認しに行ってきます←
雑記
余談ですが、COZYにはパソコンとレジがないのです。かなり衝撃的でした。このご時世何をするにも、パソコンなどで管理するじゃないですか。それこそ色んなことを。まさかの手書きなんですよ。まぁお客さん的にはあまり関係ない話かもしれませんが、パソコンがないのでジムにある掲示物もほぼ全部手書き。なんかすごいところに来ちゃったなーというのが最初の印象でした。ちなみにレスト中に何気なく読んでいたのですが、意外と手書きもいいものだなと素直に思ってしまいました。手書きの方が気持ちが伝わるとかいう話は大嫌いですが、手書きの方が確かに温もりがあって親しみやすいなと初めて感じました。親しみやすさを演出するための余計なイラストもなく、ただ文字だけの手書きの掲示物だったのですが、ついつい読んでいました。意外と、手書きも悪くない。
手書きついでに面白いものを見つけたので、紹介しようと思います。先月末辺りにCOZYで初めてのコンペが開かれ、その際に使われたジャッジペーパーももちろん手書きだったのですが、印刷した紙が薄かったんですよね。手汗などでボロボロになりかねないので補強のためにとそれを板に貼り付けて、ジャッジペーパーならぬジャッジプレートが誕生したのです。これ良くないですか?ポケットに入るくらいの大きさにしたらジャッジの人も筆記板を持つ必要もないですし、クシャクシャになる心配もない。集計の時にかさ張って仕方ないかもしれませんが、選手的には使いやすいんじゃないかなと思うんですよね。最近のコンペでは効率化や電子化が進みジャッジペーパーや筆記板を持つ必要もなくなりつつありますが、個人的にはこのジャッジプレートにぐっとくるものを感じてしまいました。効率どうこうより発想と物がすごく良かった。
またオーナーの入江さんの趣向により、日中は太陽光のみで営業しておりました。最初は電気をつけ忘れたのかとも思いましたが、そういう仕様だったようで、雰囲気的にはプライベートウォール感がすごい。個人的には電気をつけないのも、プライベートウォールのような雰囲気もすごく好きでした。特に西陽になったときの壁の綺麗さといったら思わず写真を撮ってしまうほど(それが今までで一番綺麗に撮れた写真)。あまりジムとは関係ないですが、マジックアワーとか凄く好きなんですよね。あの胸を締め付けられる虚無感が大好きです。恥ずかしい話なのであまり人に話したことはなかったのですが、そういうのを大切にするジムなのかなと少し嬉しい気持ちになってしまいました。
そしてかなりアットホームなジムでした。多分皆さんが想像するアットホームさの3倍はアットホームなジムです。オーナーをはじめとしたスタッフの皆さんの人柄が凄く良くて、私の抱えていた不安な気持ちもどこかへ吹き飛んでいました。知り合いのクライマーの家に遊びにいったかのような気楽さ。久々に知り合いのいないジムに行きましたが、それでもずっと喋っておりました。登っていろよって感じですがね笑
最後に
流行りのホールドもないし、ジムも決して大きいとも言えないし、言葉は悪いですが時代に逆行するようなジムでしたが、最近の流行りのジムにはないクライミングジムとしての魅力に溢れたジムでした。また足を運ぼうと思わせられる確かな個性があり、訪れてみる価値があるジムです。何かの機会に訪れてみてはいかがでしょうか。
それでは皆さん、またお会いしましょう。