栃木 関東地方

クライミングジムロストキャニオンのご紹介

第35回は栃木県宇都宮市にある『ロストキャニオン』を紹介していきます。

ご存知の方もちらほらいるかと思いますが、一応私のホームジムです。

 

クライミングジムロストキャニオン

遠征主体の生活を送る私においてホームジムというもの自体馴染みの薄いものなのですが、比較的行く頻度の高いところでありますので、一応ホームと語らせて頂いているわけです。正直2週間に一度行けているかどうかと言う程度ですが汗

ソムリエにおけるグレード感の基準『DOG(高津)・FIish・ロスキャニ』と取り上げて、DOGとFishは早々に紹介した癖に、地元のジムでどう書けばいいのか分からないとなっかなか書かず、半年以上寝かしていました。最近になってそろそろ書かなければいけないなと思ったのと、そろそろ記事にできるジムが減って来たというのが本音なところ。

さて、ロストキャニオンはヒラリーさんこと平野正行さんが店長を務め、栃木の各地から猛者が集まるジムにございます。正直休日に行ったことないし遠征という視点でこのジムを見たことがないので、ソムリエとしてうまく表現できるかすっごく不安がありますが、早速今回も紹介していきましょう。

ロストキャニオン

店舗の大きさ:普通くらい

壁の高さ:高い

課題数:多い

課題の傾向:癖強め

グレード感:スタンダード

 

店舗の大きさ

店舗はジムとしては普通くらいの大きさ。壁の構成は初心者ウォール(90°)、95°、105°、120°、DOME、130°と6面構成。90°以外はけっこう広めに面が取られており、広々と登る事ができます。今現在は120°と130°がまぶし壁となっており、それ以外の面はラインセットを楽しむことができます。ラインセットだけでもかなりの本数があるので、遠征に行ってラインセットだけを触ったとしても十分にヨレ切ることでしょう。

 

クライミングウォール

壁の高さはけっこう高いですね。マットがやや硬めでトップから不意に落ちるとちょっと痛いので、その辺は気をつけてください。また半分以上が傾斜のある壁なので、登りごたえはかなりあります。横幅もあるし、高さもあるし、ただ登るだけで十分なトレーニングになります。DOME壁と130°では感じる高さはかなりのもので、普通に怖い。ロスキャニの課題に多いのが、『タダでは取らせてもらえないゴール』シリーズの課題。ゴール付近で不安な一手があったり、単純なガバではなかったり、体が真横向いていたりetc…。それらの要素と高さが組み合わさると、とても刺激的なクライミングとなるわけです。普通のジムではそう言った課題が3本くらいあるかどうかくらいですが、ロスキャニではけっこうよくあります。

 

課題数

課題数はテープ課題で80本前後。その他ヒラリーさんや五月女美元ちゃんをはじめとした様々な人によるファイル課題が豊富にあります。ヒラリーさんやミハルちゃんのファイル課題などここ以外ではそう触れるものではありませんからそれだけで価値がありますし、常連さんによるファイル課題もなかなかに秀逸です。人によってかなり色濃く特徴が出ていますし、基本的に1級初段、たまに2・3級くらいの課題があるという感じのラインナップ。やっぱり強く上手い人たちが多いと自然とファイル課題のクオリティもかなり高いですね。一度の遠征でファイル課題まで手を出すのはなかなか大変かと思いますが、ぜひこちらも触ってみてください。

 

課題の傾向

課題の傾向はけっこう癖が強めかと思います。

普段から遠征に行き色んなセッターさんの課題を触り続けていますが、ここの課題はどことも似つかない独特の雰囲気があります。保持感は比較的強めで、見た目の難解さがあり、ムーブ自体の悪さアンバランスさが顕著で、他のジムよりも全体的に足が悪い。核心以外のパートの一手一手もどこか気持ち悪さや不安な要素があり、全体的に気が抜けません。ここまで言うとmabooと似た表現ですが、ちょっと違いうんです。mabooよりも普通のジム的な課題でそんな要素が詰め込まれています。また後述しますが引き締まったグレード感をしていることもあり、普段のクライミングよりも少し緊張して取り組む感じです。あまりうまく表現出来ないのですが、全体的にそれほど大きく癖が主張しているわけでもないのですが、捉えどころのない『気持ち悪さ』が印象的です。まぁ、全部まとめてそれらが楽しいんですけどね。

課題のバリエーションも実に豊富で、岩っぽいものからダイナミック・真っ向系・バランシー・イベント時にはコーディネーションっぽい課題もあり、そのどれもが練りに練られ作られているので、遠征で行けば総合力を試されるでしょう。

 

ジムの魅力

さてさて、やっとここまで来ました。このまま上記以外の魅力についてもう少し話をしていきましょう。

ロスキャニにおいて最も特徴的なのがDOMEと呼ばれる壁です。薄被りや垂壁、強傾斜が混ざり合った多面壁なのですが、こんな壁他でみた事がない。最近でこそ多面壁が多くなってきて色々な形状がありますが、ここほど面と面が大きく取られている多面壁はありませんね。下部は垂壁らしくバランシーであったり、上部は壁の変わり目でアンバランスになったり、パワフルにダイナミックになったりと様々な要素を詰め込んだ課題が揃っています。また壁の弱点とも言えるコーナーが全然弱点じゃないんですよ。確かに居れることには居れるのですが、傾斜がある程度ついているので動きをしっかり合わせたり、出力を高めていかないとすぐに落とされるわけです。そしてかなりの確率で要求される「オカモチ」。普通のジムではまず出てこないオカモチが色々な角度で要求されるのです。最早ロスキャニのDOME限定ムーブともいえる壁でオカモチとか、他のジムでやったことない(そもそもこの形状がない)。仮にこの動きを他で再現しようとしたら、ボテボテの課題でにするしかありませんから、コンペなどでもない限りほぼ出てこない動きでしょう。ここでしか味わえないタイプの課題ですので、言った際には是非触れてみて下さい。

また、定期的(?)に趣向を凝らしたイベントが開催されており、刺激的なクライミングを絶えず提供してくれています。もう終わってしまったイベントでは『2×2』『2612』と言うアテンプト重視の擬似コンペ的なイベントが行われ、コンペのような緊張感を味わう事ができました。精神力をゴリゴリ削られる秀逸なイベントでしたが前回のラウンドで終わってしまいました。今年もなにやら楽しそうなイベントがありそうなので、SNSは要チェックです。

そしてロスキャニのメインウォールである130°の話を外すことは出来ません。まずこのまぶし壁を普通のまぶし壁と思ってはいけません。ラインセットをして余ったホールドをつけてまぶしにしましたみたいな壁とはワケが違うのです。一年に一度ホールド替えが行われるのですが、毎回異なるコンセプトで、その度にまぶし用のホールドを買い足し、ゲストセッターを呼んで、今後一年遊びつくせるようにとセットをしているのです。しかも130°に付くホールドはどれもラインセットでメインとなり得る良質なものばかり。汚い話ではありますが、この壁に掛けている費用的に見れば高級まぶし壁といえるでしょう。写真上では分かりにくいかもしれませんが、ボリュームの間に細いのもしっかり散りばめられているので、決して単調な壁ではありません。訪れた際には是非この壁を体験してみて下さい。

 

編集後記

さてと、とりあえず今回はこの辺にて仕舞いにしようかと思います。

今まで色々な記事を書いてきましたが、間違いなく今回が一番苦戦しました。予想はしていましたが、普段登りに行くところを、すっかり慣れてしまっているところを改めて遠征先として紹介すると言うものは難しいものでした。ぶっちゃけた話、この記事を書き上げるのに2週間ほどかかってしまいました。実に無能。

まぁ今回やっとロスキャニを書くことができたので、インスタの方でも壁の更新を発信することができるようになり、やりきった甲斐があります。

不意に思ったのですが、ロストキャニオンってネーミングカッコよすぎません?失われた渓谷。シンプルかつハイセンス。ま、それだけの話です笑

最後に、ここは間違いなく強くなるし、クライミングスキルの向上に最適なジムです。現にロスキャニに行けば強くなると言う噂があり、それを聞いて県内各地から意識の高い人たちが訪れます。その噂の真偽のほどは人によって異なるかとは思いますが、私は事実であると思っています。良質な課題と環境が揃っていますので、噂が事実になる可能性はかなり高いと言えるでしょう。是非訪れて、その真偽のほどを確かめてみて下さい。

それでは皆さん、またお会いしましょう。

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