クライミングジムを味わい豊かにご紹介

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クライミングジムBANJATのご紹介

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皆さんこんばんは、ソムリエです。

冒頭から思いっきり脱線させていただきますが、ついにソムリエ、沖縄に進出しました。

いつかはソムリエとして沖縄のジムを巡りたいなと思ってはいたのですが、まさかこんなにも早く機会が訪れるとは思っても見ませんでした。人生いつ何が起こるか、本当にわからないものです。自分で言うのも何ですが、遠出の加減が極端なんですよね。仲間と連休を合わせて車で遠出するにしても気軽に行けない関西にばかり行って、その手前の東海地方には全然行ってないし、せっかくの飛行機ということで四国・九州とかすっ飛ばして沖縄行っちゃうし、本当に極端。まぁ九州・四国地方は関西に移住してからじっくり巡ろうと思っているのですが、東海地方に関しては1泊2日くらいで行けるし機会を見ていこうと考えているうちに、今に至るわけなんですけどね。

今回から沖縄編として3・4回に分けて沖縄のクライミングジムやクライミング事情について書いていきますが、先ず今回の沖縄編のコンセプトについて触れておこうと思います。クライマーが沖縄に訪れてクライミングジムに行くことがあるとしたら、大まかに以下の3パターンに分けられると思うのです。

  • 具志頭ボルダーに行こうとしている → 雨に降られて具志頭に行けなくなった
  • 家族や恋人との旅行 → 上記同様に雨で観光や外でのアクティビティにも行けなくなった
  • 仕事での出張 → 仕事の都合で時間が取れず、ジムに行くのが精一杯な場合

私のようにジムだけをメインに沖縄に行くような人間は圧倒的少数派でしょう。

上記のような場合、入念に調べてジムに行こうというより、突発的にじゃあ行ってみるかという感じになると思うんですよね。で、いざ行く前に少し調べてもどんなジムなのか結構わからないもんなんです。どんな雰囲気で、どんな課題があって、アクセスはどうなのかとかとか。ということで、実際に行ってきました。流石に沖縄にある全部のジムに行けたわけじゃありませんが、候補に上がるであろうジムは巡ってきたので、沖縄に訪れた際のクライミングジム選びの参考になればと思います。

 

クライミングジムBANJAT

さて、随分と前置きが長くなりましたが、第50回は沖縄県名護市にある『BANJAT bouldering』を紹介します。

2018年の10月にオープンしたばかりの沖縄で一番新しく一番大きいジムで、クライミングジムとしては最北にあるジムであります。そして何より、奥弥工務店による巨大な曲面壁が最高に魅力的。めちゃくちゃ格好いい。

奥谷さんが建てたジムというのはちらほら耳にしていましたし、オープニングコンペの様子はSNSなどで見ていたのでいつかは行ってみたいなーと思っていたのですが、まさか本当に訪れる日が来るとは思ってもいませんでした。写真で見るよりも実物の壁は本当に綺麗で、写真を撮る手を止めて見惚れてしまうほどでした。

では、今回も張り切って紹介してまいりましょう。

 

沖縄県のクライミングジムBANJAT

  • 店舗の大きさ:大きい
  • 壁高(壁について):高い
  • 課題数:多い
  • 課題の傾向:ムーブ重視
  • グレード感:気持ち優し目

 

店舗の大きさ

店舗は大きな倉庫を丸々使って作られており、沖縄で一番大きいジムです。外から見ればその大きさは非常に顕著で、最初はこの建物すべてがジムだと認識していませんでした。いや正直に言いますと、沖縄にこんなに大きいジムがあるとは思っていなかった。その為駐車場もどこまでがジムの駐車場なのか分からずに、恐る恐るの駐車でした笑(実際駐車場もかなり広いので、埋まりきるということはそうないんじゃないでしょうか) 実際に中に入ってみると、この大きな倉庫目一杯に壁が作られているのがまた驚き。奥谷さんによる曲面壁が受付あたりから奥に至るまでずーっと続いていて、その他に東京の壁建屋大工さん(本名)が建てたというマントル壁やキッズウォールがあるのです。この大きさは素直にテンションが上がってしまいます。

レストエリアも広々としており、ストレッチ器具が揃っていたりビーズクッションがあったりと居心地もすごくいい。また常時駐車場側のシャッターが2つ開いているので、クライミングジムとは思えない開放感がまた素敵。沖縄に対して抱いていた開放的なイメージがそのまましっくりくる感じで、この時期の昼下がりや夕方ぐらいにはきっとかなりいい雰囲気になるのでしょう。そんな雰囲気も是非味わいたかった。

 

クライミングウォール

BANJATの一番の目玉といえば、この曲面壁を置いて他にないでしょう。奥弥工務店による『捻れた曲面壁』はクライミングウォールの域を超えて芸術性さえ感じてしまいます。木の明るさを前面に生かした壁は画像越しでも目を引く美しさがありますし、実際目の当たりにすると思わず息をのむような、ため息が出るようなそんな壁でした。本当に美しすぎました。ちなみに壁建てに関わった方々は、奥谷さん、武田さん、大工さんとのこと。

曲面壁はR状に湾曲しながら、手前から奥にかけて少しずつ捻れていくという珍しい形状。しかもその変化の具合がまた良い。緩やかに傾斜が変わっているので、2手くらい進めると違う傾斜になっていて、足の置き方利かせ方、ポジションの取り方が微妙に違ってきて、これがまた面白い。単一的な面と面による多面壁とはまた違った力のかかり具合が、この壁のこのジムの独特のテイストといっても良いでしょう。その曲面壁が、傾斜が緩めなものと強めなものの2面があり、奥に垂壁があって、曲面壁の向かい側に曲面がかなり強い壁がもう一面あります。見た目はボルダーズのR壁と似ていますが、壁自体は全く別物でした。R掛かるところの湾曲具合がもっと激しくて、局所的なルーフ状の形状になっており、その後また傾斜が続くというハード仕様な壁。端的にいうなら、ボルダーズのR壁をもっとエグくしたような壁。こちらもまたすこぶる良い壁でした。湾曲が強いためハンドホールドもフットホールドもその表情や特性を大きく変えて、急に踏みにくかったり、ガバなのに抜けてきたり、かと思いきやポジションを上げたら効いてきたりと、形状もいいしカンテもあるしコーナーもあって、いろんなムーブや癖を堪能できる壁でした。壁は全長22mとかなり幅広で、高さも4.5mあるので動きも大きく、手数があるので登りごたえ抜群。

またこれら奥谷さんによる曲面壁の他に、入口横にキッズウォールがあり、東京の壁建屋の大工さん(本名)が建てた立体壁(マントル壁)があります。この立体壁も癖が強くて面白い。こちらも結構大きい壁で、相当気合を入れてニスを塗りまくったのでしょう。めちゃくちゃ滑るんです。しかも恐ろしいのが、滑る上にマントルの上部の傾斜がそこそこ寝ていているのです。それらが相まってニスによる滑る感じが足裏から伝わってくる中で、のっぺりしたジブスに立ち込むのはかなりの勇気が必要でした。「立ち込んだ瞬間に足が滑ったら」と思うと事故を起こしそうな気がしたので、とりあえずそれらは一度忘れてかなり気合を入れて踏みました。確か3級くらいの課題のゴール取りなので、是非やってみてください。恐怖を乗り越えたためか、3級とは思えない達成感のある課題でした。あの瞬間、確かに息が止まっていました。

 

課題数

課題はオープニングコンペのラインセット+追加セットのテープ課題という構成で、ラインセットの方がメインという感じでした。ラインセットが多いので見た目はすっきりしていますが、壁が大きいので課題数はかなり豊富。グレードも簡単なものから2段まで各グレード本数もしっかりあって、遠征にはもってこい。今回は時間的な制約があったので丸一日かけて登り倒すことができませんでしたが、課題の量的に1日いても触りきれなかっただろうなと思います。あれも触りたいしこれも触りたいし、でも時間が足らねえ!的な感じ。

余談ですが、普段クライミングをする際には時間を気にせず気ままにガツガツ登るタイプなので、このように時間的制約がある状況自体稀なのですが、案外パフォーマンスが上がるもんですね。少ない時間でより多くの課題を触るためには確実に登っていかなければならないという意識があったのか、普段以上のパフォーマンスが出ました。心理作用的には、コンペのそれと似ているのかもしれません。沖縄から帰った後も何度か時間的制約を設けて試してみたのですが、自分でも驚くほどパフォーマンスが上がるんですよ。沖縄での発見というか、この沖縄ツアーがきっかけの発見でした。遠征という状況ではあまり使えない手段かもしれませんが、機会があれば是非試してみてください。

 

課題の傾向

オープニングコンペのゲストセッターには、ノブさん、大西さん、武田さんの3名が入っており、追加セットでオーナーの千葉さんが作った課題があります。初めての沖縄のジムで、どんな癖があるんだろうと期待と不安に胸を膨らませていたら、意外と関東テイストな感じでした。これには良い意味で予想を裏切られました。イケイケな課題が豊富で、ダイナミック、コーディネーション、バランシーとバリエーションも豊富。全体的に保持に頼らないムーブやポジショニング主体の課題が中心で、かなり楽しめます。そして面子から想像つくように、まぁ安定して課題が面白いのです。もうあまりにも楽しすぎて、2日目の予定を変更してまた登りに行きたい衝動に激しく駆られました。一個人としてはそうしたかったのですが、ジムソムリエとして沖縄に来ている以上それは許されないなとぐっと我慢しましたが…。正直今でも心残りな課題があります。また沖縄に行くことがあれば次はもっとゆっくり登りに行きたいなと心から思います。それくらい、どの課題も面白すぎました。

またBANJATにあるホールドの多くはあまり指皮にキツいフリクションをしていないものが多いので、具志頭や勝山など外岩の後に行っても問題なく楽しめると思います。

 

グレード感

BANJATのグレード感は、沖縄のジムの中では比較的優し目です。ソムリエ基準的にはどのグレードもムーブにしても強度にしても、その他メンタル的な要素など様々な要素を加味してもきちんとグレード内に収まっており、その中で登りやすいという感じ。保持感自体はべらぼうに悪いというものはそれほど多くなく、ムーブが悪かったり癖があったりするので、誤魔化すのが得意なクライマー的には登りやすいと感じるのかと思います。多分。

 

編集後記

ジムの特徴として、他にないほど徹底的に初心者に寄り添ったジムだなと思うのです。

沖縄のクライミング事情として、本島の南部にクライミングジムが集中しているので、比較的北部に位置する名護市にはクライミングジムをはじめとしたインドアでできるアクティビティがなかったそうです。そんなクライミングがない地域ですので、お客さんも経験者より初心者の方がずっと多いらしく、それに合わせたジムの方針が、今まで訪れたどのジムよりも初心者に優しいジムでした。ホールドのフリクションが優しいものが多いなと思ったら、初心者の指皮の発達を考慮したホールド選びだったり、腱などの発達に合わせた保持感や強度だったりと、そこまで考えたこともなかったし、少なくとも聞いたこともありませんでした。そこまで寄り添うのかという感じで、素直に感動してしまいました。またそれでいて、遠征としては十二分に楽しめてしまう課題の豊富さ。初心者にここまで寄り添いながらこれほど上のグレードが豊富というのもなかなか珍しい組み合わせなんじゃないでしょうか。一般的なクライミングジムでは上のグレードから下のグレードまであるのはまぁ前提として、その中でどちらかに傾くと思うんですよ。上級者が多いから悪目の課題が多かったりとか、初中級者が多いから1級初段までしかないとか。もしくは本数が少ないとか。初心者への優しさと上級者に向けての満足感という両立の難しい2つの要素を非常に高い次元で両立していました。

さて、しかし現実問題として、県外からここに行くのは中々大変です。まず飛行機は確定でしょうし、空港から車で1時間半は掛かるので、高速バスかレンタカーを使わなければ到底たどり着けません。でもソムリエとして是非行ってもらいたい。私のようなジム狂いならば沖縄にジム遠征に行くためだけにに行ってもらえるでしょうが、まぁそれは少数派の意見でしょう。ということで、どうにか周りを説得もしくは誘導する案をソムリエさんは考えました。

 

クライマーと行く場合

  • 具志頭に行く→雨に降られる→具志頭に行くということはレンタカーを借りているでしょうから、そのままBANJAT。
  • もしくは具志頭→連日は指皮が持たない→BANJAT。
  • 勝山や辺戸岬などの北部にある外岩リードに行く→雨に降られたのでBANJAT。
  • 美ら海水族館を開館と同時に入ってジンベイザメを堪能→openからBANJATで登り尽くす→帰りは中華居酒屋『福』で腹を満たす(ソムリエ一押しプラン)

※BANJATをメインに据えて行く場合、名護市にあるMr.金城がオススメです。コスパ最高。

 

クライマー以外と行く場合

美ら海水族館など北部の観光スポットに行く→生憎雨で、「じゃあ近くに登れるところあるからそこに行ってみようよ」という流れ。

 

正直いいます。実際遠かった。向かう道中、沖縄って意外と広いんだなと思うほどではありましたし(ちなみに有料道路を使うと山間部を通るので、沖縄の見慣れない植生をのんびり見れるので結構楽しかった)、空港から行くにもそこそこ時間がかかりました。そこは認めます。でも実際那覇周辺からは車で1時間ちょっとだし、まぁ行けちゃう距離じゃないですか。ぜひ行って欲しい。飛行機に次ぐレンタカーの旅はなかなかメンタルにくるものがあるかもしれませんが、それをしても行く価値のあるジムでした。着いて登って、「あぁ、本当に来てよかったな」と心から思いましたよ。すっごい楽しいんですもん。沖縄在住の方でまだ行ってない方には是非ジム遠征に行ってもらいたいですし、県外から観光がてら来たクライマーにもどうにかして行ってもらいたい。この壁は一見の価値がありますし、ここでのクライミングが何より楽しすぎました。是非皆さんも、知略計略の限りを尽くして足を運んでみてください。最高にテンションの上がる壁と課題達が待っていますよ。

それでは皆さん、またお会いしましょう。

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